それはまだエムトーン代表の永田が、
地下深く人知れず、
穴ぐらのようなところでシコシコとシステム開発を続けているころでした。
ERPがASPでPOSにも‥‥というような、
果てしのないややこしいシステムを延々と作り続けていましたが、
あまりに範囲が広すぎてあやふやなので、
いったい何を作っているのか、
ほとんど誰にも理解されてなかったころでした。
いわゆる「全体最適の図」(ERPの頁参照)に敏感に反応された経営者が現れたのです。
「キミんとこ、これ、すごいことやってるやんか」
「はあ。自分ではそう思とるんですけど」
「会計までできんのか」
「ええ、まぁ一応」
「それ、うちの駐車場の料金計算になんか応用でけへんかな」
「はぁ‥‥、それは別に簡単やと思いますけど」
「あ、そうなん?」
「タイムカードみたいなもんでしょ」
「そやそや。『入り』と『出』の時刻を管理するっちゅう意味では車も人もいっしょや」
「給料計算ができて、駐車料金の計算がでけへんという理由はないでしょ」
「そやけど、駐車場によって料金体系もいろいろあるで」
「給料かて正社員やらパートやら、いろいろありますやん」
「ウチは『1分精算』っちゅうのんやってんねんで」
「そっちのほうがむしろやりやすいと思いますわ」
「1時間に20台くらい出たり入ったりすんねんで」
「車種や車番まで入力したとしても1台あたり30秒切るはずですよ」
「へーっ!それがほんまやったら有人の駐車場では画期的なことやわ」
「あ、ほんまですか」
「そらそうやで。無人のほうはどんどん進んでるけど、有人のほうはここ何十年も変わってないねんもん」
「どうせナンバー入力するんやったら、それでマイレージとかやったったら喜びますやろな」
「そんなんできんの?」
「できるでしょ。何万台でも、何百万台でも。巨大なデータベースほど得意やから、ウチは」
「ええ話やんか、それ」
「会員カードも作らんでええし、ドライバーにしてみたら知らん間にポイントがたまる」
「そやそや、そういうこっちゃな」
‥‥ま、だいたいこんなようなやりとりを経て「ピーポス」が生まれることになりました。
のちにこの「ピーポス」は、
この敏腕な中小企業家によってあれこれと周辺機能が練り固められ、
堅牢なビジネスモデルとして昇華してゆき、
全国区デビューへの道を歩むことになります。
大きなビジネスも小さなヒラメキから。
えてしてそんなもんかもしれませんなぁ。
自分の持っている技術を、
いったいどこで役立てたらいいのかわかってない技術バカが、
鋭い嗅覚を持ったひとりの経営者によって救われたという、
ありがたいお話でした。
なにかの参考になりましたでしょうか。
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